日々届くお問い合わせメール──。
確認、内容理解、カテゴリ分類、返信……これらをすべて手作業で行っていると、多くの時間を取られてしまいます。
株式会社P・S(健康食品通販会社)は、ECサイトを用いた商品販売業務において、Make × Notion × Gemini(AI)を組み合わせた仕組みで、お問い合わせ管理の大部分を自動化。
メールの受信からデータ登録、カテゴリ分類、さらに返信の一部まで自動化し、工数を大幅削減しました。
この記事では、その具体的な仕組みと効果をご紹介します。
背景と課題
同社では、毎日さまざまな種類のお問い合わせがメールで届いていました。
- 解約依頼
- 資料請求
- サンプル品の依頼
- 操作方法の質問
- 商品に関する相談
- その他の雑多な問い合わせ
これらをすべて担当者が手作業で分類し、Notionの管理データベースへ転記していました。
結果として、
- 分類にばらつきが出る
- 対応の優先度判断に時間がかかる
- 同じ内容のメール返信を都度作成
- 担当者の負担が大きく、対応漏れリスクも高い
という問題が発生していました。
自動化の概要
この課題を解決するため、
Makeでメールを受け取り → Geminiで自動分類 → Notionへ登録 → Notionから定型メールを送信
という仕組みを構築しました。
使用ツール
| カテゴリ | ツール名 | 用途 |
|---|---|---|
| iPaaS | Make | 受信トリガー、Notion登録、メール自動送信 |
| AI | Gemini | 問い合わせ内容のカテゴリ分類 |
| データ管理 | Notion | お問い合わせのデータベース管理 |
| メール | Gmail / SMTP | 自動返信メールの送信 |
自動化フローの詳細
自動化①:お問い合わせメールの自動登録・カテゴリ分類
Step 1:Makeでメールを受信
お客様から届いたお問い合わせメールを、Makeのメール受信トリガーに転送。
メール受信と同時にフローが実行されます。
Step 2:Geminiでカテゴリ分析
Makeがメール本文をGeminiへ送信し、
「解約依頼」、「資料請求」、「サンプル品請求」、「操作方法」、「その他相談」などのカテゴリを自動推定。
Step 3:メール内容をNotionへ自動登録
Makeがメールの差出人、件名、本文、受信日時及び、Step2で自動判別したカテゴリをNotionの「お問い合わせ管理DB」へ登録。
※ポイント: カテゴリ分類が自動化され、対応優先度の判断が早くなる。
連携イメージ図
自動化②:Notionからワンクリックで定型メール送信
Step 4:NotionページにWebhookアクションを配置
Notionの各レコードに「メール送信」ボタンを設置。
ユーザーはNotion上で「解約案内を送る」「資料を送る」など、送りたいメールを選択できます。
Step 5:ボタンクリック → MakeへWebhook送信
ボタンを押すと、「お客様名」、「メールアドレス」、「お問い合わせID」
などがMakeのWebhookへ自動送信。
Step 6:Makeでメール送信
受け取った情報を使って、Makeが適切な定型文メールを作成し、自動送信。
- 解約手続きの案内メール
- 資料請求の返信メール
- サンプル品案内メール
など、複数のテンプレートに対応できます。
連携イメージ図
導入効果
| 指標 | Before | After | 改善率 |
|---|---|---|---|
| メール分類時間 | 1件あたり3〜5分 | 0分(自動) | 100%削減 |
| Notion登録時間 | 1件あたり2分 | 0分 | 100%削減 |
| 初期返信時間 | 平均半日 | 即時 or 数分 | 大幅改善 |
| 対応漏れ | 月数件 | 0件 | 完全ゼロ |
担当者の負担が本当に軽くなりました。」
— 株式会社P・S お客様サポート責任者
導入時の工夫・ポイント
- Geminiへ渡すプロンプトを最適化し、カテゴリ精度を向上
- Notion側のフィールド名を統一し、Makeとの連携を簡易化
- 定型メールは複数テンプレートを用意し、シーン別に使い分け
- MakeのWebhookを複数用意し、用途ごとに処理を分離
特に「Notion → Webhook → Make」の連携は、
担当者が操作しやすく、かつ誤送信しないためのUX を重視して設計しました。
今後の展開
今後は、返信メールの本文をGeminiが自動生成する仕組みの追加や、
顧客ステータス(解約見込みなど)のスコアリングも自動化する計画です。
さらに、チャットサポート(LINE・ChatGPT連携)への展開も検討中です。
まとめ
課題: メール対応の分類・転記・返信に多くの時間がかかっていた
解決策: Make × Notion × Geminiで、お問い合わせの分類と返信作業を自動化
効果: 分類時間ゼロ・返信スピード大幅向上・対応漏れの解消
この仕組みは、サポート業務に限らず、営業・採用・サポート全般で応用可能です。
ノーコードで構築でき、少人数運営でも導入しやすい点が評価されています。


