SaaS導入の次のステップとして近年注目を集めるiPaaSと、話題になっている生成AI、これらを組み合わせる事で、ビジネスにどのように活用できるのか。iPaaS、AIそれぞれの解説と、具体的な活用例についてご紹介したいと思います。
iPaaSとは
iPaaS(Integration Platform as a Service)は、異なるソフトウェアやクラウドサービス間の連携を簡単に実現するためのクラウドベースのプラットフォームです。企業が使用する複数のアプリケーションやデータをシームレスに接続し、自動化されたワークフローやプロセスを構築できます。ノーコードのサービスとして提供されているケースが多く、開発コストを削減しつつ、高速かつ柔軟なソリューションを提供しています。
主な特徴として以下が挙げられます:
- プログラミンが不要なノーコード/ローコード環境
- 複数のアプリケーションやクラウドサービスを組み合わせた柔軟な連携が可能
- データの変換やワークフローの自動化機能が備わっている
- スケジュールやアプリケーションのイベントをトリガーとしたワークフロー実行が可能
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生成AIとは
生成AIは、機械学習の一分野であり、テキストや画像、音声などのコンテンツを自動生成する技術を指します。代表的な生成AIには、ChatGPTのような言語モデルや、画像生成AIのDALL-Eがあります。
生成AIの主な機能は以下の通りです:
- テキスト生成(例:文章作成、記事作成、メールの下書き作成)
- 自然言語理解(例:顧客問い合わせ対応)
- データ解析および視覚化(例:文字列抽出、グラフ作成)
- クリエイティブコンテンツ生成(例:広告バナー作成、ロゴ・サムネイル画像作成)
iPaaSと生成AIの連携でできる事
iPaaSと生成AIを連携することで、企業の業務効率を大幅に向上させることが可能です。以下は、その具体例です:
カスタマーサポートを自動化
iPaaSを用いて顧客データベースやCRM、生成AIを連携し、個別対応メッセージを自動生成する。
リアルタイムのデータ分析とレポート生成
iPaaSを用いてCRM、MA、生成AIを連携し、各ツールのデータソースからデータを解析してレポートを出力する。
マーケティングコンテンツの作成
生成AIがプロモーション用のテキストや画像を生成し、iPaaSを用いて複数のプラットフォームに配信する。
iPaaSと生成AIの連携事例
事例1:Eコマース企業における顧客体験の向上
Eコマース企業での活用事例についてご紹介します。こちらの企業では、ECサイトに登録された会員情報をCRMに顧客として登録し、管理しています。ECサイトからCRM(顧客管理システム)へのデータ連携はiPaaSを活用し、ECサイトへの登録をトリガーとして自動登録を行っています。
CRMに蓄積された顧客情報と顧客の購入履歴・行動パターンを用いて、定期的に顧客へのメルマガ配信を行っています。このフローでは顧客に送信するメール文面の作成において、生成AIを活用し、顧客毎にパーソナライズされたメッセージやレコメンデーションを自動生成しています。これにより、顧客エンゲージメントが向上し、オペレーターの時間短縮と売上向上を実現しました。
事例2:求人応募情報の自動取込
求人の応募管理における活用事例についてご紹介します。1日に数十件の応募メールを受信するこちらの企業では、iPaaSを用いて応募情報を採用管理システムに自動登録しています。
特定の件名のメール受信をトリガーとしてiPaaSを実行します。その後、iPaaSのフロー内で生成AIと連携し、メールに添付されている履歴書や職務経歴書から必要な情報をテキストデータとして取得します。最後にATS(採用管理システム)にデータを登録します。これにより、オペレーターの時間短縮と、ヒューマンエラーの減少を実現しました。
まとめ
iPaaSと生成AIの組み合わせは、業務の効率化や自動化の可能性を大きく広げる強力なソリューションです。異なるアプリケーションやデータソースを連携できるiPaaSの強みと、コンテンツ生成やデータ解析を得意とする生成AIを活用すれば、様々な業界でイノベーションを実現できます。これらの技術を効果的に活用することで、ビジネスの競争力を高めることが期待されます。