近年、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の一環として、業務プロセスを自動化し、異なるシステムを連携させるツールとしてiPaaS(Integration Platform as a Service)の導入が進んでいます。特に中小企業においては、コストや使いやすさを考慮しながら、最適なiPaaSを選定することが重要です。本記事では、iPaaSの選定ポイントと、主要な6製品について比較しています。
iPaaSの選定で情報を集めている方は参考にしてみて下さい。
iPaaS選定のポイント
iPaaSを選定する際には、以下の3つのポイントを重視する必要があります。
1.機能
連携可能なアプリケーションの種類
使用している業務アプリケーションとiPaaSが連携可能かを確認しましょう。対応範囲が広いほど、導入の柔軟性が高まります。
特に海外のiPaaSは日本のみで展開しているアプリケーションとの連携に対応していないケースが多々ありますのでご注意ください。
ワークフローの自動化機能
データ処理や通知の自動化が可能かをチェックし、業務効率の向上につながる機能があるかを確認しましょう。
API対応の有無
API経由で独自のカスタマイズができると、より高度な統合や拡張が可能になります。
エラーハンドリングやデータ変換機能
エラー発生時の対応策やデータの変換機能があると、スムーズな業務運用ができます。
2.価格
無料プランの有無
初期導入のハードルを下げるために、無料プランが用意されているかを確認しましょう。
社内で運用できるかどうかもランニングコストに大きく影響します。無料プランがあると十分な検証ができ、安心です。
料金プランの柔軟性(従量課金制か固定料金か)
ビジネスの成長に応じてコストが変動するかどうかを考慮し、最適なプランを選択することが重要です。
中小企業でも負担しやすい価格設定か
予算に応じた価格で導入できるかを比較検討し、過剰なコストが発生しないよう注意しましょう。
3.使いやすさ
ノーコード/ローコード対応
プログラミングの知識がなくても簡単に操作できるかを確認し、開発リソースの削減につなげましょう。
直感的なUI/UX
画面設計が分かりやすく、誰でも簡単に操作できるインターフェースかどうかをチェックしましょう。
ドラッグ&ドロップ操作の可否
フロー構築が簡単にできるかどうかは、業務効率に大きく影響します。
日本語対応の有無
サポートやドキュメントが日本語に対応しているかも、導入のしやすさに関わる重要なポイントです。
主要iPaaS 6製品の比較
日本でも知名度の高い6つのiPaaSを比較してみました。それぞれの特徴も記載しています。
iPaaS導入においては、用途や企業規模に応じた選択が非常に重要ですので、参考にしてみて下さい。
MuleSoft
大企業向けの強力なAPI管理とデータ統合機能を持つプラットフォーム。高いカスタマイズ性があるが、専門的な知識が求められる。
https://www.mulesoft.com/jp/
Workato
AIを活用した高度な自動化が可能で、大企業向けの統合機能が充実している。価格は高めだが、強力な機能を提供。
https://www.workato.com/ja-JP
Power Automate
Microsoft製品と親和性が高く、Microsoft 365やAzureを活用している企業に最適。ノーコードで業務自動化が可能。
https://www.microsoft.com/ja-jp/power-platform/products/power-automate
Make
視覚的なワークフロー設計が可能で、シンプルな操作で自動化を実現。コストパフォーマンスが良く、中小企業に適している。
https://www.make.com/en/product
n8n
オープンソースで自己ホスティングが可能。自由度が高く、エンジニアがカスタマイズしやすい。
https://n8n.io/
Zapier
直感的な操作で多くのアプリを連携できる。ノーコードで簡単に自動化を構築でき、中小企業や個人事業主にも人気。
https://zapier.com/
主要なiPaaS製品の比較表
製品名 | 機能 | 価格 | 使いやすさ | 特長 |
---|---|---|---|---|
MuleSoft | 高機能・大規模向け・API管理が強力 | 高価格(エンタープライズ向け) | 上級者向け | 大規模システム向けで、高度なAPI管理機能を提供 |
Power Automate | Microsoft製品と親和性が高い・AI活用 | 無料プランあり(MS365 E3以上のライセンスで利用可能)・比較的安価 | ノーコード対応・初心者向け | Microsoft製品との統合がスムーズで、AIによる自動化が可能 |
Make | 柔軟なワークフロー作成・ビジュアル重視 | 無料プランあり・低価格 | ノーコード対応・直感的なUI・中級者向け | 視覚的なワークフロー設計が可能で、直感的な操作が特徴 |
n8n | オープンソース・カスタマイズ自由 | 自己ホスティング可能・低価格 | ローコード開発が必要 | 自由度が高く、自己ホスティングによるコスト削減が可能 |
Workato | AI機能搭載・企業向け連携が充実 | 高価格(大企業向け) | ノーコード対応・企業向け | 大企業向けの強力な統合機能とAIを活用した自動化 |
Zapier | 豊富な連携アプリ・簡単な自動化 | 無料プランあり・中価格 | ノーコード対応・初心者向け | シンプルな操作で多くのアプリを連携可能、初心者でも簡単に使用可能 |
まとめ
中小企業向けにiPaaSを選定する際は、コストと使いやすさを重視するのがポイントです。
まずはiPaaSについて知りたい。試してみたいという方は、無料プランがありノーコードで構築可能なZapier、Make、をお勧めします。Microsoft 365のE3以上を契約されている場合は、Power Automateが無料で利用できますので勧めです。
iPaaSに慣れており、社内にエンジニアがいる場合は、カスタマイズ性の高いn8nがお勧めです。
高度な統合が必要な場合やサポートを重視する場合は、ランニングが高額にはなりますが、MuleSoftやWorkatoを検討すると良いと思います。
さらに詳しい特徴や事例などについては、各サービスにお問い合わせください。SaaS統合の目的や規模を考慮し、自社に合ったiPaaSを選定してください。